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「ふたり★おなじ星のうえで」の絵本で児童労働と貧困を知ろう

2020/07/08
 
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今、子ども達に求められているのは、
学力だけではない!!!!!!
…と言われて久しい社会ですが、
何を教えていくのがいいんでしょうか?

子どもの人権と児童労働を考える絵本、
「ふたり★おなじ星のうえで」

  • 自分の当たり前の生活は、
    みんなにとって当たり前ではないことがある
  • 普段着ている服や身近なものが作られるために、
    子どもが労働力に使われていることがある

学力だけではなく、優しさや共感性などの非認知能力を育て、
社会問題を考え、行動できる人になるために!

「児童労働」と「子どもの人権」がテーマの絵本をどうぞ!

「ふたり★おなじ星のうえで」

関連記事 債務児童労働と学ぶ権利がテーマの絵本「マララとイクバル」

人工授粉の作業は、綿の木が低いことや、非常に細かい作業のため、
子どもの小さい手のほうがむいているといわれています。
それに、大人を雇うよりお金がかからないので、
貧しい家の子どもや学校に行っていない子どもが、
労働力として使われている
のです。

引用元 絵本「ふたり★おなじ星のうえで」

どこか遠い世界の出来事と思いがちなのが、
貧困・戦争・人権問題など。
しかし日本でもここ数年で盛んにニュースで聞きませんか?
「子どもの貧困」というワード。

子どもが貧困になるとどうなるのか?
それを、子どもにも分かるように書かれた絵本があります。
勿論読者ターゲットは子どもだけではなく、大人も!
親子で、保育所で、学校で、児童館で、読んで考えてみませんか?

著者は、人権や命の絵本を多く手掛ける絵本作家と、
国際的に活躍するフォトジャーナリストです。

どんな内容?

インドにも義務教育はありますが、
5年生になるまでに約4割の児童が学校をやめてしまいます。

本書のラマデビちゃんのように、
生活が苦しいため、農場や土木建設、工場などで
多くの子どもたちが働いています。

この絵本は、イラストと写真でできた絵本。
同じ地球上、同じ年齢、同じ性別、
だけど境遇が全然違う、2人の女の子の対比が書かれています。

絵本の見開きの左と右で、全然違うのが分かるようになっています。

主人公の1人は、南インドのラマデビさん。
もう1人の主人公は、日本のさいたま市の春佳さん。

春香さんの生年月日は1996年9月16日。
一方、「おかあさんも、ラマデビのたんじょうびをしらない」というラマデビさん。

ここからして大きく違いますよね。
多くの日本の子にとっては当たり前の生年月日も、知らない。
日本にもそういう子はいない訳ではありません。
色々な事情で、戸籍や記録が無かったり病院で生まれていなかったり。
そういう子が世の中にはいるんだよというのを知るのは、とても大事なこと。

読み進めていくと、どんどん環境の違いが明らかになります。

  • 春佳さんの父親は服飾系の会社員
    ラマデビさんの父は病死でいない
  • 春佳さんの母親は週3のパートで月6万円をもらい、
    ラマデビさんの母親は畑で1日70円の仕事をする
  • 春佳さんの家はマンションで、暑い夏には冷房をいれる
    ラマデビさんは家の外に網のベッドを出して眠る
  • 春佳さんの母親が掃除をしてご飯を作ってくれる一方、
    ラマデビさんは朝から掃除をして炊事や家事をやる
  • 春佳さんはランドセルに教科書などを入れて通学、
    ラマデビさんは父親の死後は学校に行っていないし
    字も書けないが、学校に行ける子を羨ましいとも思っていない
  • 春佳さんは今は働いていないが将来は花屋になりたいと願い、
    ラマデビさんは朝から夕方まで綿花農園の受粉の仕事をする

日本と比べながらラマデビさんの環境を知ると、
貧しくて暗くて悲しい印象ばかり受けるかもしれません。
しかしそればかりでもありません。
ラマデビさんなりのおしゃれ、友だち、大事なものが紹介されています。

そして、ラマデビさんは「学校に行けることを羨ましく思っていない」と。
これは本人が「これで十分幸せだからいい」と思っているからなのか?
それとも、「学ぶことの大切さすら大人から知らされない」のか?
絵本からは全てを読み取ることができませんが、考えさせられますね。
マララさんの絵本とはここが大きく違います。
参考 ノーベル賞受賞者の絵本「マララのまほうのえんぴつ」

絵本の終盤、春佳さんは父親からTシャツをもらいます。
服飾系の会社で勤めているので、シャツは会社で作ったもの。
そこで、父親から「シャツは、インドに咲く綿の花で出来ている」ことを教わります。

ベッドのなかで
春佳はかんがえた。
「とうさんは
インドでは
綿花ばたけで、
いまでも
ちいさなこどもが
はたらいていると
はなしてくれたけど、
すごくあつい、
こかげもないはたけで
いちにちじゅう
はたらくのって、
どんなきもちだろう。
そのこたちには、
どんな夢が
あるんだろう」

絵本のストーリーはここで終わりになっています。
その後のページは、写真つきの社会科資料集のようになっていて、
「綿花からシャツができるまで」の工程が書かれています。

この絵本が伝えたいこと

児童労働をテーマにした絵本は、他にもたくさんあります。

色んな境遇で格差があることを、まず知るのが必要です。
「貧しい人がいる、それに比べて私は恵まれているから我慢しなきゃ」という風に、
何か苦痛を耐えたりと、我慢教育のために使われてはなりません。
ましてや、「自分はまだマシ」と他者と比べて安心するためでもありません。

2019年春に話題になった東京大学入学式、
上野千鶴子さんの祝辞がありますね。
「努力して勝ち上がってきたと思っているものは、
実は自分の努力だけではない。
周りのサポートがあって才能の花は開く。
しかし、生まれもった環境で
努力のスタートラインにすら立てない人がいる。」
あの祝辞で上野さんが伝えたかったことはこうなんですね。

あなたたちのがんばりを、
どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、
恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、
そういうひとびとを助けるために使ってください。

引用元 東京大学公式サイト「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」

「そのこ」のような社会問題をテーマにした絵本の役割とは、
多くの子どもや大人に問題を知ってもらい、
たくさんの人がみんなの幸せのために動けるようにすること
なのでしょう。

本来ならば、たくさん遊び、好きなことを見つけ、学べるはずの子ども時代。
だけれど、貧困や紛争によってそれができず、
知識もスキルも得られないまま大人になってしまう。
自分で考えて選ぶことができず、搾取されたままの生活を送ってしまう。
児童労働は、当たり前の子どもの権利が大きく侵害されているから問題なのです。

自分が学べる環境にあるならば、それを社会のためにどう還元するのか?という
「ノブレスオブリージュ」「福祉」「相互扶助」を教えるためなのです。

作者はどんな人?

この絵本の著者は、谷川俊太郎さん。
絵は塚本やすしさん。
写真は谷本美加さんです。

谷川俊太郎さんとは

谷川俊太郎さんとは、絵本作家としても有名ですが、
詩人としても、翻訳家としても活躍されています。
代表作はPEANUTS・SNOOPYを思い浮かべる方も多いでしょう。
シュールでチャーリーブラウンのらしさをよく表現された日本語訳をされています。

しかし、もっともっと、日本のほとんどの子ども達が知る作品があります。

それは、レオ・レオニーの名著「スイミー」!

優しくて、分かりやすい言葉で、
谷川さんの絵本ってとても安心感があるんですよね。
子ども相手だからといい加減な言葉で誤魔化すことはせず、
子どもの人権を尊重して言葉選びをされているのがよく伝わってきます。

谷川さんは、他にも、子どもの人権をテーマにした絵本を出版されています。
芯の通った主張を感じますね。

この絵本も、「ふたり★おなじ星のうえで」と同じ構成。
カカオ農園で汗を流して働く少年と、日本の少年の対比を描いています。
絵本「そのこ」をもっと知りたい方はこちら!

塚本やすしさんとは

塚本やすしさんは、1965年生まれ、東京都出身の絵本作家。

谷川俊太郎さんとのタッグにより、児童労働の絵本を書いたり、
やや恐ろしい感じの食育の絵本を書いたりしています。
なかなかパンチの効いた作家さんのようですが、
数々の著作には一本通った信念が感じられますね。
ゆるふわではなく、本気で命について向き合う作品ばかりです。

「やきざかなののろい」は、タイトルも表紙も怖いですけど、実は読んだら…??
超意外な結末の絵本です。

「しんでくれた」の方がぞわぞわして怖いです。
こちらも塚本さんと谷川さんの共作です。

怖い食育の絵本?!「しんでくれた」ってどんな絵本?

谷本美加さんとは

谷本美加さんは、フォトジャーナリスト。
国境なき医師団フォトジャーナリスト賞を受賞されています。
アフガニスタンやソマリアのこと、日本で暮らす難民のことを著書で書かれています。

ジャーナリストの方が写真で描く絵本も、いっぱいあるんですよ。
子どもの人権・労働・貧困などの社会問題をテーマにしたものが多く、
大人が読んでも勉強になることばかりです。
違うジャーナリストの絵本になりますが、おすすめはこちらです!

「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」は人権教育に絶対おすすめ!

まとめ

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関連記事 人権教育におすすめの絵本リスト完全版!

子どもの人権と児童労働を考える絵本、
「ふたり★おなじ星のうえで」!

  • 自分の当たり前の生活は、
    みんなにとって当たり前ではないことがある
  • 普段着ている服や身近なものが作られるために、
    子どもが労働力に使われていることがある
  • まずは問題を知り、何ができるかを考え、
    相互扶助の価値観を伝えていくこと

子どもの人権教育や社会教育に、
大人同士で社会問題を考えるきっかけに。
この絵本を是非読んでみてくださいね。

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