LGBTを知ろう!日本の教育で理解を進めるためにすべきこと
LGBTについて、あなたは理解していますか?
本を読んでいたところ、同僚から「何の本?LGBT?あー聞いたことある。へぇ、でも私の周りにはいないなぁ…」と呟かれました。
とっさに私はこう答えました。
「んーーーー、言わないだけで、実は周りにいるかも。」
「周りにはいないし関係ないこと」と思ってしまいがちだけれど、それは無関心なだけかも?!
保育士、教諭、小学校教諭、中学・高等学校教諭、子育て中の保護者…
決して無関係ではないのです。
子ども達個人の個性・気持ちを大事にするために考えてみませんか?
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LGBTを知ろう!
NHK「ハートをつなごう」LGBT BOOKには、こういうセールスコピーが書いてあります。
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー……。
NHK教育テレビの番組「ハートをつなごう」が送る、多様な性をポップに学べる一冊!
重苦しい雰囲気ではなく、そして専門家の小難しい言葉で綴られているのでもなく、当事者達の言葉でこの本が作られているのです。
この本はもともとはNHKのテレビ番組「ハートをつなごう」のLGBT特集を本にまとめたもの。
自分の性に悩みを抱えている人達、いわゆるセクシャルマイノリティーの人達で、若い世代の人も多く出演しているので、身近な言葉で表現されています。
写真もいっぱい載っています。
今までセクシャルマイノリティー、つまりセクマイを理解できなかった人でも、読んですんなり理解することができるでしょう。
こういう、当事者の若い人達が語る本って、とても分かりやすくておすすめ!
学校での過ごし方、友だちや先生や親にしてほしいこと、将来こうしたいということ、が当事者でない人にも伝わりやすく書かれています。
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番組パーソナリティーのソニンさんは、その番組をする前は、何となくLGBTという言葉を聞いたことがある程度だったとのこと。
今では、人に対して「彼女/彼氏いるの?」という聞き方をやめ、「恋人いるの?」という聞き方になったそうです。
恋愛の相手が自分の異性とは限らない、なるほど!ですよね。
知ったからこそできる話し方なのだと思います。
さてさて、LGBTって何なのでしょう??
LGBTって何?
そして、LGBTとは、「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー」をまとめたものです。本の言葉をお借りして説明いたしますね。
「LGBT」は当事者が自分たちのことをポジティブに語る言葉として、1990年代以降北米やヨーロッパで使い始められ、最近では日本でも使われるようになってきています。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーだけではなく、広く性的少数者の人たちを指す表現として用いられることも多い言葉です。
LGBT以外にも、性的マイノリティはまだまだいるんです。
この本を読むまでは、私もちゃんと理解はできていなくて、ふんふんなるほど、と勉強になりました。
知らなかった時は、無意識に誰かを傷つけていたかも…。
Lのレズビアンとは
女性の同性愛者、つまり女性で女性を愛する人。
「レズ」という呼び方は差別的との見方もあり、「ビアン」と呼ぶそうです。
心が男性だけど女性の体として生まれてきて女性が好きで、男性になりたい!…というタイプだけではありません。
見た目も心も女性で、恋愛対象も女性、というタイプもいます。
多様なんです!
Gのゲイとは
男性で男性が好きな人。
「ホモ」「おかま」は差別的と捉えられているようです。
テレビの「オネエ系」のように、男で生まれたけれど男が好きで女装して…というタイプだけではないのです。
(メディアの影響による偏見ですね…。)
女になりたい訳じゃなく、筋肉ムキムキで男性向けの格好をするし恋愛対象は男性…というタイプもいるし、やはり多様!
ちなみに、海外ではGay(ゲイ)は性別問わず同性愛者のことを指すことが多いそう。
対する日本は、レズビアンと区別して、男性の同性愛者のことをゲイと言うことが多いようです。
Bのバイセクシュアルとは
両性愛者、つまり、同性も異性も恋愛対象になる人。
この本によると、
「自分のことをバイセクシュアルだと思っていない人の中にも、「異性愛者であると思っているが、同性にも興味を持ったことがある」「同性愛者と思っているが、異性にも興味を持ったことがある」という人はいる。」
そう考えると、より多くの人がバイセクシュアルに当てはまるかもしれないですね。
思っているより少数ではないかもしれません。
Tのトランスジェンダーとは
心の性別と体の性別が一致していない人「性同一性障害」は医学上の診断名で、トランスジェンダーはもっと広い概念の言い方。
「障害」という言葉に違和感を覚える人も多いそうです。
その他の用語
この本を読んで少しずつ理解してきたのは、上のLGBTの4つだけに当てはめられるものでもない、ということ。
だからといって難しく捉える必要はないと私は思っています。
その人達も人間で、何かを好きだったり嫌いだったりするし、その人にとっての「普通」を生きているのですから。
本を読んでみて、一部の関連する語句を以下にまとめてみます。
・パンセクシュアル
パンとは全ての、という意味。
バイセクシュアルのバイは「2」を表していますが、パンセクシュアルの人は男性か女性かの二択ではなく、性別関係なく人を愛する、という意味でパンセクシュアルを名乗る人もいるそうです。
・ヘテロセクシュアル
自分と異なる性別の人を愛する人、異性愛者のこと。
ホモセクシュアルの対義語。
・MTF
Male To Female、つまり、男性から女性に性別を変える人のこと。
・FTM
・Female To Male、女性から男性に性別を変える人のこと。
・アライ
LGBTの人達の市民権獲得のために協力・支持をする人。
同盟者。
自身がLGBTでない人もいます。
・ストレート
同性愛者の対義語で異性愛者のこと。
・無性愛
性的指向を持たない人。
性的指向とは、「異性愛」「同性愛」「両性愛」のように、どの性別を愛する対象としているか、ということ。
・性自認
「自分は男/女である」と、自分の性別に対する確信のこと。
性同一性障害の場合は、「体は男性、心(性自認)は女性」というようになる。
どちらでもないという、性自認がはっきりしない人もいる。
・ホモフォビア
LGBTやセクシュアルマイノリティーの人たちに対する偏見・嫌悪・差別。性的マイノリティの人達を嫌っている人のこと。
LGBTの4種類どころか、もっともっと、色んなタイプに分かれていて、簡単に分けられるものでもないということがやっと分かってきました。
こんなに色んなタイプの人達がいて、だけど全て少数派として押し込められて苦しみを感じていたのか…と思うと、自分も人間として、教諭としてまだまだだなぁ…と思わされます。
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これからの教育現場でできること
私は日頃から気を付けていることがあります。
それは、「パパ」「ママ」という言葉を多用しないこと!
日本の保育者や先生って、結構言っちゃうんですよね、「お家のパパママ」って。
でも、子どもには父親母親がいる、それが当たり前の普通の家族、っていう意識、私はかなり前に捨てました。
例えば、宿題を持ち帰らせるならば
「帰ったらママと〇〇してね!」ではなく、
「お家の人と〇〇してね!」と言うようにしています。
自分の環境や多数派の環境が当たり前ではありません。
お母さんがいない子、お父さんがいない子、また、お父さんでもお母さんでもない大人に育てられている子どもだっているのです。
えー細かいこと気にしすぎだよ!と言われたら、私は「いやいや、今まで、典型以外の子どものことを無視しすぎていたんだよ!」と答えるでしょう。
この本を読んだり、いわゆるオネエ系の人たちのテレビでの話を聞いていたりすると、親だけでなく先生も無関係ではないことが分かります。
なぜなら、当事者達は、学校へ通う子どもの頃から、早くは幼少期から自分の性の違和感に気付き、悩んだり苦しんだりしているからです。
そしてその悩みを、周囲の人に打ち明けられないということも多いのです。
幼稚園の頃に既に同性の子が好きで自分はおかしいと思っていた…とか、本当はスカート/ズボンが履きたかった…とか、語っていますよね。
その子どもの頃の気持ちは、とても大事な証言だと私は思っています。
ないがしろにしてはいけません。
これから多様性がどんどん認知されるようになったら、学校や保育園や幼稚園はどうすれば?
私はそれを学びたくてこの本を読んだのですが、その答えになることが書いてありましたので引用させていただきます。
まずは当事者の10代の学生の声。
先日、私の高校の先生が同性愛者をおかしな人だというようなことをボソッと言いました。
その話の発端はクラスのある一人のホモフォビアの子の発言からなのですが、クラスの約3分の1が先生の発言で笑いました。
明らかにそのフォビアの子と先生はLGBTに関して詳しい知識がないとわかりました。
でも私はそこで何も言うことができませんでした。
そのことが忘れられません。
もし私がちゃんと知識を伝えれば、少しは見方を変えたかもしれないと後悔しています。
ここで問題だと思うのは先生は確かに思想の自由があるかもしれないけれど、知識の無さで同性愛者を差別している点です。
日本において、LGBTに関するある一定の教育が無いことで、こんなことが続くのはおかしいと思います。
恐らく先生は、LGBTのことを聞いたことはあっても自分のクラスにはLGBTはいないだろう…と他人事。
そして自分が差別をしているという自覚はないのでしょう。
異性愛者である自分は普通で、同性愛者は普通ではないという認識に、何の疑いも持っていないのだと思われます。
こういうのは教員に限らず、一般市民に大勢います。
最近の話ですが、○んねるずの某バラエティ番組で同性愛者を嘲笑する表現をして批判が来た、とありましたよね。
その騒動の時によくネットの声として見られたのが「最近は何でも配慮しすぎ」「気にしすぎ」という意見。
そういう意見を言える人は、「嘲笑された立場」でも「差別をされて苦しむ側」でもないから無神経・無配慮でいられるのです。
ー学校などで、ホモフォビアはどのように改善されていったら良いと思われますか?
針間 まず、学校の先生がいじめに加担しないことですよね。実際よくあるのが、いじめの中心が先生というケースなんです。「おまえはおかまか。男らしくしろ」と先生自らが言う傾向が強い。
平田 統計上、1クラスに1人ぐらいは当事者の子どもがいてもおかしくない割合なわけですが、自分の目の前の生徒の中に、当事者の子どもがいるとは思わず、子どもの心を傷つけるような発言をしている教師はまだまだいます。一方、理解のある教師も少しずつではありますが増えている実感はあります。
針間 性同一性障害に関しては、クラスにいるかもしれないという理解が少しずつ広がってはきているんですけれども、逆にLGBTに関してはそうした理解は進んでいないと感じますよね。
※上記補足
平田…平田俊明さん。同性愛者医療・福祉・教育・カウンセリング専門家会議の共同代表。
針間…針間克己さん。日本性科学会幹事長。性同一性障害研究会理事。
子どもが先生や親や周りの大人から受ける影響はとても大きいもの。
先生がLGBTに理解がないどころか差別的であると、多くの子どももそういう価値観になっていきます。
当事者は言えないまま傷つき、「自分はおかしいのかもしれない」と本当の自分の気持ちを責めるようになるでしょう。
先生がいじめの中心になるって…怒りと情けなさで愕然としますよ。
性同一性障害は理解が進んでいるから現状で良いかと言うと必ずしもそうとばかり言えないこともあるように思われます。たとえば性別違和のある子どもがいて、「じゃあ制服変えましょう」と一足飛びになればいいのかと言ったら…(略)…
針間 確かに学校教育においては、性同一性障害もしくは性別違和を抱えるお子さんへの対応はオール・オア・ナッシングになりがちなんですよね。(略)実際には性別違和というのも人によってさまざまで、社会的な性役割が嫌な人もいれば、自分の体が嫌な人もいて、あるいは恋愛対象が中心の人も……、というように問題の種類も発育も違うので、子供ひとりひとりに対しての対応をオーダーメイドでつくっていくつもりで、その子にとって一番過ごしやすいかたちとは何かを考えていくことが大切だと思います。あと、必ずしも性同一性障害という医学的診断によらなくても、性の悩みを抱えるいろんなタイプの子どもを認めて対応してあげてほしい。
恋愛対象が同性だからといって、その子は異性になりたいとは限らない。
制服をスカートからズボンにすれば解決という訳でもない。
子どもの一人一人の悩みも望みも違うので、その子が幸せになる方法を一緒に考えていくことが必要なんですね。
学校での問題も解決への取り組みも、もうこの引用文に全てが集約されています!
「対応をオーダーメイド」!!
素晴らしいし分かりやすい言葉!
求められているのはマニュアル対応じゃないってことです。
まとめ
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LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーのことですが、性の問題を抱える人達はその4種類だけにすっぱり分類できるような単純なものでもない、ということ。
個人個人によってさまざまということがようやく分かってきました。
教育現場の先生達や親や大人は、その人個人がどうしたいのかを知り、気持ちを否定・批判せず、ありのままの存在を認めること、それが求められる対応です。
多様性と一言にいうのは簡単ですが、「多様性を認めよう!」と言っている時点で、まだまだ少数派の人々は一般的で普遍的だと思われていない証拠です…。
私にもまだまだ無意識の偏見や差別が、きっとあるんです。
反省と勉強です。
どんな性別でもどんな指向でも全ての人に優しい社会にしていくには、まず多様性を知ることから!