絵本「どんなかんじかなあ」は多様性と他者理解を描いた良作!
人権教育をしたい?
優しい子どもに育ってほしい?
多様性や障がいについて勉強したい?
押しつけがましくなく学べるのに、おすすめなのが絵本!
ほのぼのして優しい作風の「どんなかんじかなあ」は
シンプルながら考えさせられるお話ですよ!
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絵本「どんなかんじかなあ」
第11回 日本絵本賞 受賞作品
第52回 青少年読書感想文全国コンクール課題図書
(小学校低学年の部)
相手を思いやることの大切さ。
「日本絵本賞」受賞の名作。
引用元 Amazon.co.jp
子どもの優しい心を育み、
人権意識を持てるようにするためには、
人権教育が必要です。
でも、大人達のほとんどが人権教育を受けてこなかったのでは?
だからピンとこないし、子どもにも教えられないまま。
それでは、不寛容や不親切は、子ども達へ受け継がれ、連鎖してしまいます。
そこでおすすめしたいのが、
「どんなかんじかなあ」という絵本です。
絵も文章もほんわかしていて、説教くさくないのがイイ!
読んだら自然と他者の立場をイメージするようになり、
色々と考えさせられる、なかなか深いお話です。
込められた思いは、多様性と、他者理解!
どんな内容?
画像引用元 Amazon.co.jp
ともだちの まりちゃんは めがみえない。
それで かんがえたんだ。
みえないって どんなかんじかなあって。
しばらく めを つぶっていたら わかるかもね。
うん、めを つぶっていてみよう。なんてたくさん いろいろな おと!!
ぼくは おどろいて めをあけた。
まえと おなじ しんとした よのなかだった。
だから まりちゃんにあったとき いったんだ。
「みえないって すごいんだね。
あんなにたくさん きこえるんだものね。(略)」
引用元 絵本「どんなかんじかなあ」
この絵本の主人公は、ひろくん。
色々なお友だちがいます。
目の見えない子、
耳の聞こえない子、
災害で家族を亡くしてしまった子…
そんなお友だちのことに心を寄せ、
「どんなかんじかなあ」と想像してみると、
色んなことに気づくようになります。
画像引用元 Amazon.co.jp
その気づいたことを、直接お友だちに伝えるんです。
「きみってすごいんだね!」と。
ひろくんの純真無垢な感じと、
お友だちとの穏やかな関係に癒されますよ。
見えない、聞こえないっていうお友だちに対して、
「すごいね!」と明るく言えるひろくん。
現実で大人相手に同じことを言えば、
もしかしたら嫌味にとられてしまうかもしれません。
ひろくん達って不思議な関係なんだなぁ…
と思いながら読んでいくと、最後に分かるんです。
ひろくんだからこそ、この言葉が優しく響くんだと。
ネタバレになってしまうので、是非お読みください。
「ああ、そうだったんだ…」とつい声が出てしまいますよ。
これは間違いなく、名作です!
この絵本のすごいところ!
「どんなかんじかなあ」のおすすめポイントであり、
この絵本を読む意義やねらいは、やっぱりこれ!
- 人の違いについてふれられる
- 説教くさくなく、優しい
- 「困難=可哀そう」という描き方をしていない
- ひろくんを通して読み手も
「どんなかんじかなあ」と自然にイメージするようになる
特に、説教くさくないというのが良いですよね。
教育的・知育的・道徳的な絵本は子どもに支持されません。
おもしろくないから。
大人の意図が透けて見えて興ざめしちゃうんですね。
「優しくしてあげようね!」とか
大人が子どもに教えつけたいような、
多数派の健常者目線の偉そうな
「理想の模範解答」が一切盛り込んでない。
道徳の教科書とは違うんですね。
著者はあとがきにこう記しています。
ひろくんと彼のともだちの話が、
あなたにいろいろな考えを運んでくれたらいいな、と思う。
引用元 絵本「どんなかんじかなあ」
「どんなかんじかなあ」は、決して珍しくないような、
子ども達の自然な会話のやりとりから、
すんなりと物語の世界に入っていけます。
「読んだあなたは、何を感じる?」と
著者から質問を投げられているような気分になります。
反応や答えは、子どもによってきっとそれぞれでしょう。
でも、それでいいんですよね。
きっと読み終えたら、ひろくんみたいに、
目をつぶったり耳をふさいだりして体験してみようという子がいるはず!
大人でも、やっちゃいますよ!
自分と違う立場の人をイメージしてみることで、
困っている人がどんなことを求めているか考えたり、
他人に優しい気持ちで接したいなと思うようになったりするでしょう。
大事なのは、お互い助け合うこと。
ノブレスオブリージュの気持ちや、相互扶助の心を、
子ども達に伝えていきたいものですね。
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著者はどんな人?
画像引用元 EhonNavi
聞いたこともない難しい名前の病気。
日本で三人くらいしか例がなく、治療法は今のところ、ない。
にこにこ、すてきな女の子だった。
彼女と会って、話して、いろいろなことを考えた。
障害のあるともだちのこと。
ないともだちのこと。
自分自身のこと。
みんなそれぞれ何かしらどうしようもない辛さを背負っているということ。
でも生きられる。
いっしょになら生きられるということ・・・・・・。
彼女は私にいろいろなことを考えさせてくれた。
引用元 絵本「どんなかんじかなあ」
著者は、中山千夏さん。
多数の絵本を出版されている方で、
直木賞作家の候補に3回上がったこともあります。
でも肩書は絵本作家だけでなく、実に多彩!
子役としてデビューしたのち、
「じゃりン子チエ」「ひょっこりひょうたん島」の声優、
1980年には衆議院議員も務めています。
「きれいな未来を子供たちに手わたしたいから」と出馬したとのこと。
その思いや主張は今も変わってないことが、
最近の著書からも感じとることができますね。
色々な経験をして、色々な人と関わってきた中山さんだから、
深くてメッセージ性のある絵本が生み出せるんですね。
まとめ
絵本「どんなかんじかなあ」は、優しい名作!
- テーマは多様性と他者理解
- 自分と違う立場の人の気持ちを
自然に想像してみることができる - 他人が勝手に憐れむ必要はないと気づける
- みんなで支え合えば生きられると気づける
大人の「こうしてあげようね」という良い子ちゃん的ストーリーではなく、
自然~にイメージして優しい気持ちになれる、
素晴らしい絵本ですよ!