「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」は人権教育に絶対おすすめ!
人権教育が大事です、と言われても!!!
じ、じんけん…んんん???
人権って、子どもにどうやって伝えていきますか?
ちょっと難しいでしょうか?
それを、「ああ!これが人権の尊重!」と、理解できる、素晴らしい絵本があるのです。
一家に一冊、置いておくべきでは、と思わされるほど!
子どもだけでなく、大人も、ハッとさせられる!
人権について、考えなおしませんか?
下記クリックで好きな項目へ移動!
絵本「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
関連記事 絵本の読み聞かせの効果って?脳科学の教授が明らかに!
「自分もたいせつ、みんなたいせつ」。
この世にいなくてもいい人など、たったのひとりも存在しません。
引用元 「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
子どもが虐待されたり、道端で急に怒鳴る大人が現れたり、
過労死や自殺や酷い事件があったり…
信じられないような事件が、日々絶えません。
色々起こっている問題を解決するには、「人権教育」が必要です。
他人のためでもありますが、自分のためにも。
自分の身を守り、自由に楽しく当たり前に生きるためには、
人権についての理解が絶対必要だということなんです。
大人が思い浮かべるような「世界人権宣言」といえば、
学生時代に社会科で習った、何やら難しい文章の集まり…かも?
でも、子どものために、きれいな写真で、人権の大切さを伝えるのがこの絵本!
誰でも見られるし、分かりやすい!
写真が美しくて素晴らしい!!!
これは是非、親子で、園や学校の先生同士の研修で、クラスの時間で、ご覧いただきたい!
一度読めば、
「ああ、これが人権なんだ。」
「今まで、自分は大事にしていたんだろうか…」
と、大きな気づきになるはずです。
- とりあえずこれを一人やみんなで読んでみる
- そして、感じたことを素直に話し合ってみる
- 「分からない」ならそれでもよしで、一人一人の考えを大切にする
これだけでも、立派な人権教育になりませんか?
どんな絵本なの?
ネットで手っ取り早く「じんけんが知りたい!」というあなたのために、
この絵本がどんな絵本なのかを解説させていただきます。
これなら、子どもも、難しい言葉で遠ざけてしまいがちな大人も、とても分かりやすい!
「世界人権宣言」は、第二次世界大戦が終わって、
世界中の人びとが心の底から平和を願っていたころ、
1948年12がつ10日に国際連合(国連)で決定され、世界に発表されました。
私たちは、生まれてくる国、時代、財産の有る無しによって、生活が大きく異なります。
豊かな生活を送る人がいる一方で、
住むところがなく、食べるものも薬も十分になく、教育もうけられない人がいます。
そこで、国連は、世界中のすべての人びとが健康で幸せに暮らすために
「世界のすべての人と国とが達成するべき共通の基準」を定めようと考えました。
世界の48か国のリーダーたちが合意し、
守っていこうと決めたのが「世界人権宣言」です。(略)
この絵本では、条文の内容をかいつまんで、
かんたんな日本語に直した「意訳文」をつくって掲載しました。
引用元 絵本「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
国際連合で採択された「世界人権宣言」
世界人権宣言の条文の全てを、一つずつページにして描かれています。
世界人権宣言をテーマにした絵本は他にもいくつもあります。
他の絵本はイラストがメインであるのに対し、この「みんなたいせつ」は写真で構成されています。
それがまた…美しい!
鮮やかな色、色んな国の人達のまっすぐな瞳、
派手な民族衣装の色遣い、青くて広い空、きらきらの水面、子ども達の笑顔…。
絵本というより、写真集のような感じです。
全ての写真に隠れたエピソード
この絵本の写真を撮ったのはフォトジャーナリストの渋谷さん。
ご自身が、全てのページの写真に、地名や撮影時のエピソードやコメントを載せています。
考えさせられるものばかり…。
是非見ていただきたい「推しページ」は、こちら!
ポレワリ(インドネシア)
ハグや抱っこをする人たちを見ていると、
「あなたのことがたいせつなんだよ」という気持ちを伝えるのに言葉はいらないなあと思う。
カンパラ(ウガンダ)
路上で物ごいをする子ども。
様子を見ていたら、女の子が現れて、子どもの顔をたたいた。
泣きさけぶ子どもの手に通行人が小銭を置いていく。
女の子はお姉ちゃんだった。
貧しい家族をささえるためだと言った。プノンペン(カンボジア)
ゴミ山で働く子どもたち。
撮ったあと、凍りつくような厳しい目で見られた。
「なぜ撮るんだ?撮って何が変わるんだ?」。
そう問われている気がした。
モガディシオ(ソマリア)
食料を求めて街に逃れてきた難民の少女。
校庭で食料を受けとったあと、飢えとは関係ない小学生たちの中で、ひとり出口を探していた。
ダルフール(スーダン)
撮っていて一番楽しいのは、学校の教室で意見をいったり、自分の考えを伝えようとする子どもたちにカメラを向けるときだ。
この「考える自由」が守られるかぎり、戦争のような最悪の状態にはならないと信じている。
リオデジャネイロ(ブラジル)
自閉症の息子ふたりをつけて歩くヴィヴィアーニさん。
「社会での本当の挑戦とは、障害者を育てることではなく、障害者を人間として受け入れてくれる社会に変えること」
ラカイ(ウガンダ)
エイズで親を失った子どもたち。
国の支援はなく、学校にも通えないまま、子ども同士で助け合って生きる。バヘイリーニャ(ブラジル)
アマゾンに暮らす一家。
親が子どもを見つめる。
子どもがそれに応じる。
そんなささやかな対話の中で、人をたいせつにする心は育まれる。
それは親子にかぎらず、人と人とのコミュニケーションの基本であり、平和というのはそんな基本がつみかさなってできる。ロンドン(イギリス)
この写真はこんな気持ちで選んだ。
「きっとだれかがどこかで見てくれている。だから勇気を出して、可能性に手を伸ばし、駆けだしてごらん。その先に新しい世界がひらけるから」
世界人権宣言には、ここに写る子どもたちの未来への願いが込められている。
だれもが生まれながらに、ひとりの人間としてたいせつにされる権利を持っている。
しかしだまっていては、人権は「お題目」で終わる。
人権を広げて大きくすることができるかどうか、わたしたちひとりひとりが試されている。
貧困に苦しむ子と、裕福層に見える子の対比。
親子間での愛情を感じる表情。
子どもの活気が溢れている学校。
写真を眺めるだけでも勿論いいけれど、あとがきの言葉を読んでからだと、ぐっと深みが増します。
特に、「人権は『お題目』で終わる」というところ。
現代の日本では、多くの大人や子どもが、
そもそも人権について考えることもなく、知らないままかもしれません。
まずは知ることから、ですね。
読み応え十分なコラムつき
写真がたくさんのページの中に、ちょこっと挟まっているコラムのページ。
コラムというか、優しいイラスト付きの、子ども新聞みたいな感じです。
- 「エレノア・ルーズベルトについて」
- 「世界人権宣言ができたころの世界」
- 「第二次世界大戦はどんな戦争?」
- 「国際連合」
- 「世界の現状 教育・豊かさ・戦争・難民・テロリズム」
- 「日本のいま 差別と人権・幸福度・いじめ・貧困・教育格差・自殺・過労」
これらについて、優しく易しい言葉で、イラストやグラフとともに丁寧に解説されています。
アメリカ生まれのエレノア・ルーズベルト(1884~1962年)は、
夫のフランクリン・ルーズベルトとともに、政治の世界で活躍しました。(略)
大統領の妻、ファースト・レディとしてフランクリンをささえると同時に、
貧困や差別に苦しむ人びとを助け、女性の地位を向上させるために、力をつくしました。(略)
エレノアはとても裕福な家庭に生まれました。
8才のときに母親と、10才のときには父親と死別し、そのごはきびしい祖母のもとで育てられました。(略)
20才でいとこのフランクリン・ルーズベルトと結婚し、5人の子どもをさずかりました。
しかし、3番目の子どもは生後7ヶ月で亡くなりました。
裕福であっても、親や子どもの死はさけることができません。
さみしくなったり、悲しくなったり、悩んだりすることに、人種も、貧富の差も関係ありません。
引用元 「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
今更聞けないとか、復習するのもちょっとややこしくて面倒くさい…
と思う大人でも、とても読みやすいページになっています。
小学生以降の社会科の勉強にもいいですね。
「権利」って子どもにどう説明する?
けんり…!!
何となく分かっているけれど、説明するのは難しいですね。
子どもは、目に見えるもの、「具体的な物質」はすぐに理解できます。
例えば、「りんご」「ママ」「お店」「おもちゃ」などなど…。
それに比べると、目に見えないもの、「抽象名詞」は理解することが難しいです。
例えば、「家庭」「政府」「権力」「象徴」「思想」などですね。
心理学者ピアジェの「認知発達段階」という研究があり、
抽象的なものを子どもが理解できるようになるのは、小学校高学年くらいから、と言われています。
確かに、目に見えないものを理解するって、結構難しい!
さて、「権利って、何?」と子どもから聞かれたら、何て答えますか?
この絵本の冒頭から引用させていただきます。
たびたび出てくる「権利」という言葉は、
「資格」や「能力」と置きかえて考えることができます。
「人権」とは、だれもが持っている権利のことです。
どんな人でも、どこの国に生まれても、男でも女でも、おとなでも子どもでも、
すべての人には生まれたときから人としての価値があり、
尊ばれるべき存在であり、
勉強をしたり、働いたり、結婚をしたり、住む場所を選んだりしながら
自由に人間らしく生きる権利があるということを、
この宣言は30条にわたって述べています。(略)
みなさんも、ぜひひとつひとつ読み進めながら、
自分にはどのような権利があるのかを知ってください。
引用元 「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
一度で理解するというのは、なかなか難しいけれど、
子どもの学びや教育というのは、「繰り返し」が大切なものもあります。
権利はとても大事なことなので、丁寧に、繰り返し伝えていきたいですね。
私は幼児に聞かれたら、こう話すかなぁ…。
- 「権利っていうのは、『できる!やっていい!』っていう意味です。」
- 「ここの保育園/幼稚園には、広い園庭と、楽しい滑り台やボール、おいしい給食がありますね。」
- 「これは、ここに通う、みなさんのもの。」
- 「だから、みなさんは、これで楽しく遊ぶことができます。いつでも、誰でも、遊んでいいんですよ。」
- 「そういう時、『ここで楽しく遊ぶ権利がある!』『お腹も空くから、食べる権利がある!』と言い換えることができますね。」
- 「権利って、そういうこと。できる・やっていい、そういう力を持っているという意味。」
一言で言い換えるのは、とても難しいものですが、
丁寧に、身近な例を挙げたら、子どもは少しずつ理解してくれるでしょう。
著者はどんな人?
東菜奈さんとは?
この絵本の著者(構成・訳)は、東菜奈さん。
東京デザイナー学院で、デザインを学ばれたのちに絵本作家としての活動を始めた方です。
ある国の王様や大きな会社の社長さんと、
名もないひとりの子どもが平等ってどういうことでしょうか。
(略)
異なる模様や色を組みあわせることで、美しいデザインができあがっています。
社会もそれに似たところがあります。
いろいろな年齢の、いろいろな人がいて、
ひとりとして同じではないからこそ、社会は機能しているのです。
そしておもしろかったり、美しかったりもするのです。
ひとりひとりが唯一の存在であるということにおいて、私たちは平等なのです。(略)
ある一面だけを切り取って、人を判断することはできないのです。
文化や時代によって、価値観は変わっていきます。
多様性を認めて、みな平等に「尊い存在である」と考えることは、
平和で幸せな生活をする上で、とても重要です。
デザイナー視点で絵本作家をされている方といえば…私の大好きな五味太郎さんもですが。
やはり、こういう方々の絵本って、目を引くものがありますよね。
素敵な絵本ばかりで、並べたくなります。
渋谷敦志さんとは?
この絵本のほとんどは写真なのですが、その写真を撮ったのは渋谷さんという方。
フォトジャーナリストをされています。
日本国内の大学では社会学部を、海外留学先では写真や法律を学んだ方のようです。
野宿者の現状を取材したルポで、
1999年MSFフォトジャーナリスト賞(国境なき医師団日本主催)を受賞され、
それをきっかけに世界中の紛争・災害・貧困問題を写真におさめる活動をされています。
だから、この絵本の写真には、訴えかける力があるんですね。
70年前にあらわされたこの人権のことを、
「当たり前」と思っている人もいるかもしれない。
そんな人にはどうか想像してほしい。
当たり前じゃなかった時代に、声をあげただれかがいたことを。
国籍や人種、宗教のちがいをのりこえ、
「わたしはわたし」「みんなちがってみんないい」っていえる社会になったのも、
過去に勇気ある人たちが戦ってきたからだということを。
そして世界には、今も戦い続けている人たちがいる。
人権とは、そのような人達によって、
ようやく効力をもちこたえているものだということを、
この本を通じて考えてくれたらうれしい。
引用 「みんなたいせつ 世界人権宣言の絵本」
まとめ
関連記事 人権教育を始めるなら!自己肯定感の絵本「わたしがすき」
優しい子どもに育ってほしいなら、
酷いことから自分を守れる子になってほしいなら、
幼少期から人権教育は大事。
今を生きる大人にも、必要です!
人権教育で押さえるべきポイントは?
- 自分は自由に生きることができる
- 自分と同じく、他人も人権をもっている
- 他人を苦しめる権利は、誰にもない
- 国籍や年齢や性別や能力に関係なく、全員が価値のある人間である
これを知ると、世界や今の日本で起こっている問題が全く違う見え方になります。
人権を理解するだけで、全然違った人生・幸福度になり、
日本はもっと素敵な国になるはずです。
子どもたちはみんな、そして大人のあなたも、
将来の大事なキーパーソンなのですから。
まずは、絵本の読み聞かせから人権教育を!