反戦教育の絵本で平和について考える!込められたメッセージとは?
とても難しいテーマについて子ども達に伝えたい時。
便利で役に立ち、とても助けられるのが絵本です。
毎年お盆の時期には、戦争や平和について考える雰囲気になります。
しかし、結局その夏の時だけ何となく悲しくなって、
それで終わりになっていませんか。
平和についての話って、どうしたらいいんでしょうか。
子どもとどう話しますか?
戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」
これを読めば、何かが掴めるかもしれません。
ポイントは
- わたしもあなたも、大事な命、大事な心
- 嫌なことにはNOを言っていい
- 戦争は始めるのは簡単、終えるのは困難
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戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」
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わたしのこころはわたしのもの
だれかにあやつられたくない
わたしのいのちはわたしのもの
だれかのどうぐになりたくない
引用元 戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」
この絵本は、平和について考えるために作られた絵本。
自由と平和のための京大有志の会という団体によるものです。
- 人々の自由や人権を尊重するには?
- 平和について考えるには?
との思いから「自由と平和のための京大有志の会『声明書』」というのを掲げたそうです。
その声明書を、子どもにも伝わるように
「子ども語訳」して絵本化したのがこの本です。
児童語訳は、山岡信幸さんによるもの。
(東進ハイスクールで地理の講師をされている方のようです。)
そして絵は、塚本やすしさんという方によって描かれています。
他の著書でも、命の大切さについて書かれています。
どんな内容?
くにと くにの けんかを せんそうと いいます
(略)
せんそうは はじまると だれにも とめられません
じぶんや みんなの いのちを だいじにして
いつも すきなことを かんがえたり
おはなししたり したい
でも せんそうは それを じゃまするんだ
だから せんそうを はじめようとする ひとたちに
わたしは おおきなこえで
「やめて」というんだ
平和のために何ができるかを考えて行動する団体が、出した声明文。
「戦争は武器産業に富をもたらす。」等の簡潔な文章で成り立っています。
大人でもすぐ読める、そんなに難しくない言葉で紡がれていますよ。
それを、子どもにも分かるように子ども語訳をして、
詩集のように書かれているのがこの絵本なのです。
子ども語訳っていう呼び方が面白いですね。
子どもの頃に見えなかったけれど、
色々な思惑や権力によって世界は大きく動く時があります。
そういう世界の働きについて、
自分で考えるきっかけになるのが、この絵本なのかもしれません。
せんそうは ひとごろしの どうぐを うる おみせを もうけさせます
とか、子どもは知る由もないじゃないですか。
漫画を読んでいると「大事なものを守るために戦うんだッ!」という展開はよくあります。
しかし現実の世界はそういう単純なものではないのでしょう。
人員・物・金が莫大に必要になりますから、起こしたって大体の人が損になる訳です。
でも、その中で得をする人が、もしいるのであれば…
それってどういう団体、どういう人達なのでしょうか?????
権力者や市民、社会の構造について、
この絵本を読むことで考えるきっかけになるかもしれません。
主権者教育と人権教育のきっかけに
この絵本で、とても大事なことを子どもに分かりやすく伝えているところは、ここ。
- 「わたしのこころはわたしのもの」
- 「わたしのいのちはわたしのもの」
この文章が、一番の肝なのでは。
日本では、子どもの時から「他人に迷惑をかけるな」と教わります。
それは、「他人にどう思われるか」が判断基準になりがちです。
道徳教育の教科書を閲覧してみましたが、そういう価値観の話が多いです。
- 赤信号は、誰かに怒られるかもしれないから止まる?
- 給食は、作ってくれた人に怒られるかもしれないから無理してでも全部食べる?
- 警察に逮捕されちゃうから、泥棒をすることはいけない?
大事なことは、「誰かにうるさく言われるからやめよう」じゃないですよね。
自分も他人も大事な命だから、信号は守るし泥棒や強盗はしてはいけない。
自分と他人の大事な尊厳のために、安心安全に行動しなければいけないのです。
そういう重要なポイントを見落としてしまっていないでしょうか。
「他人のために」「他人を優先して」という価値観の中にずっといると、
子ども達は自分でものを考えることができなくなってしまいます。
人権教育について調べていくと、一番大事で基本となることが見えてきます。
- まず、自分の心と体を大事にすること
- 嫌だと思ったことや危機を感じたことは、我慢しなくていい
- その時に抱いた危機感が、自分を事故や事件から守ることに繋がる
- 自分の大切さを知ることで、他人の大切さも知ることができる
人権教育の基本は、「自分自身の心と体を尊重すること」からなのですね。
その人権教育は「主権者教育」にもつながっていきます。
大人や先生は、子ども達よりも偉い偉い上の人間でしょうか?
言うことは絶対に聞かなきゃいけない、服従しなければならない相手でしょうか?
大人だってそうです。
政治家や社長や上司や権力者の言うことは、絶対なのでしょうか?
世の中には、政治家や有名人や教諭が大問題を起こすことだってありますよね。
そういう人達に「NO」と言っていいのです。
権力をもった人の言うことを何でも聞いて働くために、一般市民がいる訳ではありません。
客や患者は、お金さえ出せば何でもやってもらえる神様でもありません。
世の中を動かす主役は、自分達、一般市民である。
自分達には、意見を言う権利や、権力者にNOを言う権利がある。
そう教えることで、自分で考え行動できるようにしていくのが「主権者教育」です。
塚本やすしさんについて
塚本やすしさんは、1965年生まれ、東京都出身の絵本作家。
谷川俊太郎さんとのタッグにより、児童労働の絵本を書いたり、
やや恐ろしい感じの食育の絵本を書いたりしています。
なかなかパンチの効いた作家さんのようですが、
数々の著作には一本通った信念が感じられますね。
ゆるふわではなく、本気で命について向き合う作品ばかりです。
「やきざかなののろい」は、タイトルも表紙も怖いですけど、実は読んだら…
超意外な結末の絵本です。
こちらの方がぞわぞわして怖いかも↓
まとめ
暗くて怖いテーマのものは、なかなか子どもと話すきっかけが持てません。
でも、大体そういうことって大事で避けてはいけないことが多いですよね。
絵本で、戦争について考えてみませんか。
- 色々な思惑があって社会が動いている
- 心や体は、自分のためにある
- 嫌なことには「やめて」という権利がある
- 勉強とは、誰かを傷つけるためではなく、救うためにするものである
絵本を読んだ後に、大人から「こうあるべきだ!」と
子どもに一方的に言いつけるのではなく、
まず「どう思う?」と子どもの考えを引き出し、
一緒に考えていけたらいいですね。
大人とは違う意見を言ってくれて、
子どもから気づかされることもあることでしょう。