学校の給食が嫌い?食育は楽しくしないと大変なことになる?
学校の給食といえば、何を思い浮かべますか?
昔の先生は
「子ども達みんな給食が大好き」
「子どもはみんな食いしん坊」
という考えがあったかもしれませんが、
現代でもその考えを持つ先生は少なくないでしょう。
しかし、その押しつけで苦しんでいた子ども、
今も苦しんでいる大人や子どもがいます。
給食の完食指導を取り巻く問題とは??
完食の強要による問題とは?
関連記事 子どもにどう伝える?絵本で分かる「防災」
小中学校で教員に給食の完食を指導されたことがきっかけで
不登校や体調不良になったなどの相談が
昨年5月~今年9月、支援団体に延べ1000人以上から
寄せられていたことが19日、分かった。
引用元 ヤフーニュース「給食完食、強要やめて=相次ぐ不登校、訴訟も―支援団体に1000人相談」
この支援団体というのは、
一般社団法人「日本会食恐怖症克服支援協会」(東京渋谷)のことを指します。
ここに、LINE等でこのような相談内容が寄せられています。
- 完食を強要されるのが嫌で
小学校低学年で不登校、対人恐怖症になった - 幼稚園に行きたがらなくなった
- 野球部の食事指導を受け、吐き続けた
大人にだって、心当たりがある人はいるはずです。
学校の先生に、無理矢理食べさせられて
食べ物や学校そのものが嫌いになったり、
居残りで食べさせられてつらい気持ちになった記憶って、
結構多くの人達が持っていませんか?
給食で完食できないということが、招くものは?
- 自己肯定感の低下
- 親や先生への不信感や恐怖心
- 食事への恐怖や過食・拒食
- 登校拒否や鬱
給食の完食の強要という、一見些細な問題に思われても、
実は多くの大きな問題を抱えていることが分かります。
子どもの一生を左右しかねないのです。
川崎市立看護短期大学の西端泉教授によると、
体を動かさなくても消費するエネルギー量「基礎代謝量」は、
同じ年齢・性別・体格で最大20%程度の個人差があり、
基礎代謝量の個人差は遺伝子レベルでほぼ決まっていると言われています。
体を動かすことで消費するエネルギー量「活動代謝量」も個人で違います。
活動量、体調、精神状態などによっても変わります。
一律に食べる量を決めてはいけない、
というのが理論的に考えれば分かりますね。
「給食の量はその年齢にふさわしい量だから残してはいけない」
などと言って強制してはいけません。
「同じ年齢・性別・体格でも、個人によって食べる量も活動量も全く違う」
ことを理解する必要があります。
先生も無縁じゃない?訴訟問題にも発展
「給食で無理矢理牛乳を飲ませられたことが原因で、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった」として、
2018年4月に、男子中学生と両親が静岡県を訴える事態も発生しています。
「そんなくらいで」「訴えるなんて大げさ」って思ったなら要注意。
自分に置き換えてみて、他人を思いやることができていないかもしれません。
大人だってどうしても苦手なものがあります。
それを「絶対に逆らえない立場の相手から食べろと言われ続ける」
っていう生活は、耐えられないものでしょう。
例えば、力の敵わない相手や怖い上司だったら?
パワハラでアウト!です。
誰だって大きな打撃を受けることになります。
また牛乳の場合は、
飲むことにより消化器系に不調を起こす「乳糖不耐症」
というのがあることも頭に入れる必要があります。
幼稚園も保育園も小中学校も、
先生達は、子どもに完食を強要してはいけません。
楽しい食育とは?
完食指導が訴訟に発展した例もあり、
支援団体は「給食は本来、楽しく食べて、食事の大切さを学ぶ場。強制は絶対にやめて」
と訴えている。
指導の背景には食品ロス削減の観点もあるが、山口代表は
「残飯ゼロは理想だが、問題は進め方だ。
子どもはそれぞれ食べられる量が違う上、
『食べろ』と言われるとますます食べられなくなる」と強調。
「食べなければ、好き嫌いをなくすきっかけすらなくなる。
適切な量を楽しく食べる環境をつくってほしい」と話している。
引用元 ヤフーニュース
食育って、果たして何なのでしょうか。
- 全部食べるよう指導するのが食育
- 作った人に感謝するのが食育
- 食べられることに感謝するのが食育
- 貧困地域で食べられない子に思いを馳せ、
自分の環境はありがたいのだから
全部食べなければならないと考えるのが食育
…と、こういう風に捉えられがちではありませんか?
しかし、作った人が「食べてほしい」と強く願うあまり、
食べる側・子ども達の思いがないがしろにされていませんか。
ましてや、貧困の問題をダシにして
「だからあなたは食べなさい」と食育をしようというのは卑怯なやり方ですし、
そもそも紛争とか貧困の問題の責任を子ども達に押し付けるのは筋違いです。
「給食は食べ残せ」と教えてもいいくらいだと思っています。
というのも、食べすぎこそが現代人の不健康の一大要因だからです。
実際に、市町村の保健師がメタボや生活習慣病の予防指導をおこなうときには、
「満腹になるまで食べない。食べ残す勇気が必要」と教えています。
(略)
健康長寿や認知症予防などのためには、腹七分目が大事なのです。
そのためには、初めから配膳量を減らすのはもちろんですが、
目の前に出された食事を勇気を持って食べ残すことも必要です。
それには子どもの頃からの習慣が大切で、
「完食は偉い」という刷り込みをしていたのでは不可能な話です。
この先、長い人生を生きる子どもたちのことを本当に考えたなら、
あえて「満腹になるまで食べない」指導をすることこそが大事なのではないでしょうか?
引用元 東洋経済ONLINE「学校給食は「残すな」より「食べ残せ」が正しい 完食指導が学校嫌いとメタボを引き起こす」
これからの望ましい食育とは、こういうことですね!
- 「楽しく食べよう!残してもいいよ!」と
寛容で楽しく明るい雰囲気で食事する - 調理方法を工夫し、食べやすく
- 食材の栽培や調理を、子ども達も楽しむ
- 栄養についての知識を得る
これって、子どもも親も先生も、
誰も不幸にならないし、皆ハッピーな食育!
ビクビクしながら食べる給食の時間なんて、何も学べませんから。
食べ物に関する絵本を楽しく読み、野菜の栽培で生長を喜び、
わいわい賑やかに料理をして、楽しく食べる!
それでいいんですね。
本来、好き嫌いは「悪」じゃない
結局、完食問題を起こしているのは、
子どもの人権を尊重しない大人のエゴではないでしょうか。
- 子どもには意志と人権がある
- 子ども本人にも、好きなもの嫌いなものがあり、
自分で選択と決定することができる - 人間には嫌いなもの嫌いな人や苦手なことがあり
それは人として自然な感情で、全て克服するのは不可能
これらを理解すれば、子どもが嫌いな食べ物があったとしても
受け入れられるようになれませんか?
以前の私はこういう話もまじめに信じてしまいました。
子ども達につらい思いをさせたかもしれません。
苦手なものをなくそうとか嫌いなものを克服しようとか、
ついついそういう方向にいきがちですが、
それよりも、得意なことや好きなことを伸ばしていくのが本来の教育です。
完食の強要をやめてほしいと思ったら?
もし、あなたが親で、大事なお子様が、給食が食べられなくて悩んでいたら?
もし、あなたが先生で、同僚の先生が無理やり完食指導をしていたら?
遠慮せずに、先生にこう伝えましょう。
- 給食が完食できなくて、登園/登校を拒否するようになりました
悩んでいるみたいです - 頑張って食べようね、と励まして一口食べさせたら吐いてしまって
それ以来食事の度に震えています - 給食が食べられないことで恐怖を感じて、
PTSDになった子どもが、親と一緒に都道府県を訴える
っていう訴訟も発生したみたいですよ - 完食指導はしてはいけないことになってきています
子どもも先生もつらいじゃないですか
楽しく食べるのが一番ですよ!
子どもが本当に嫌がっていること、
先生として自分が訴えられる可能性もあることを伝えれば、
かなり有効な伝え方になるかもしれません。
まとめ
子ども時代に給食が嫌いだった私が書いた記事なので、
全体的に給食指導をネガティブに捉えていますが、ポジティブにまとめますね。
楽しい食育とは?
- 残してもいいと伝えて、気楽に楽しく食べる
- 栽培や調理に参加してみる
- 栄養の知識を持つ
完食指導はなぜいけないのか?
- 年齢や体格や性別以外にも、
遺伝子レベルでエネルギー量の個人差は決まっているから - 食への恐怖が拒食や過食や登校拒否を招くから
- 様々な困難を抱えた場合に、先生は訴えられる可能性も出てきたから
完食を強制させられている子がいたら?
- 子どもが深刻に悩んでいる事態に発展していると先生に伝える
- 先生が訴えられる可能性もあると伝える
- 完食しなくてもいいから安心して食べるようにと、子ども本人に伝える
食べることは生きることに直結します。
健康な体と食生活について考えられる、楽しい食育になるといいですね。