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日・中・韓平和絵本シリーズとは?平和教育や夏の読書感想文にも!

2020/10/21
 
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平和教育をしているところと言えば、
広島や長崎を思い浮かべるかもしれません。

でもそれ以外の地域の人だと、
何から始めてみればいいか分からないものです。

そこでおすすめしたいのが絵本。
沢山の人が傷ついたたたかいを、
日本・中国・韓国の視点で描くシリーズ絵本がありますよ。
優しい気持ちになるもの、ひたすら悲しいもの、
子どもの年齢や状況に合わせて選んでみてくださいね。

日・中・韓平和絵本シリーズとは?

関連記事 「あなたこそたからもの けんぽうのえほん」は人権教育の入門書!

「日本・中国・韓国の絵本作家が手をつなぎ、
子ども達におくる平和絵本シリーズ」

と銘打って続々出版された絵本があります。
それが、「日・中・韓平和絵本」シリーズ。

  • 日本の童心社
  • 中国の訳林出版社
  • 韓国の四季節出版社

による共同出版で、
日本の作家さんの呼びかけにより、実現したのです。
呼びかけた作家というのは恐らく浜田桂子さん。

シリーズ一作目を書いた浜田さんは、こう語っています。

平和はあちらから来てくれるものではなく、
能動的に作っていくものです。

武力ではなく、知恵と勇気で。
『へいわってどんなこと?』は、ずっと構想を温めていた本でした。
今回、平和絵本の一冊として、
韓国、中国の作家たちと連帯して制作できたのは大きな喜びです。
率直な意見、指摘は、考えるべき新たな視点を私に与えてくれました。
どうかたくさんの方にご覧いただけますよう。

引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

浜田さんの思いは絵本にしっかり込められ、
中国韓国の作家さんもそれに賛同したから実現したんですね。

シリーズの絵本はこちら!

  1. へいわってどんなこと?
  2. 京劇がきえた日
  3. 非武装地帯に春がくると
  4. ぼくのこえがきこえますか
  5. くつがいく
  6. さくら
  7. 火城 燃える町―1938
  8. 父さんたちが生きた日々
  9. とうきび
  10. 春姫という名前の赤ちゃん

幼児でも読める優しくてシンプルな絵本もあれば、
文章量多めのもの、悲しいものまで様々あります。

人権教育・平和教育のひとつに、絵本はいかがですか?

へいわって どんなこと?

へいわって
ぼくが うまれて よかったって いうこと。
きみが うまれて よかったって いうこと。
そしてね、
きみと ぼくは ともだちに なれるって いうこと。

引用元 絵本「へいわって どんなこと?」

2012年度の課題図書になった、シリーズ代表作。

子どもが普段使うような言葉で、
「平和ってこういうことだよね」というのが表された絵本。

物語ではなく、詩のようになっています。
最後の3ページの文章と絵が特に良い。

平和っていうのは…
爆弾とか武器とかを使うんじゃなくて、
子どもが一緒に遊んで勉強できて、ご飯が食べられること。
それに、神様を信じるも信じないも自由で、
思想が違っても怒られないということ…等が書かれています。
ちょっと憲法の条文みたいですね。

国が違っても友だちになれるという文章で〆られています。
国家間の協力や信頼って、偉い人の外交だけじゃなくて、
市民が個人同士で繋がっていくのも大事なんですよね。

画像引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

悲しい描写はなく、明るく温かく平和を伝える絵本です。
健康的で活き活きとした子ども達の表情が描かれています。

著者は浜田桂子さん。
人間味あふれる喜怒哀楽がしっかり描かれた、
温か~い絵本を書く作家さんなんですよ!

代表作はこちら↓

「あやちゃんのうまれたひ」

「ぼくがあかちゃんだったとき」

もともと、赤ちゃんの産まれる背景とか家族とか、
人間の命に関わるテーマを書かれている方なのですね。

「ぼくのかわいくないいもうと」も可愛いんですよ!
きょうだい喧嘩の激しいお子さんがいたら是非…。

京劇がきえた日

あの よる、わたしは うまれて はじめて げきじょうに いき、
はじめての 京劇に うっとりした。
けれど、 そんな よるは もう なくなってしまった。

引用元 絵本「京劇がきえた日」

全国学校図書館協議会の「よい絵本」認定。

この絵本は、中国の京劇を通して、
中国の一般市民の生活と平和を描いた絵本です。
主人公は南京の町はずれの川辺に住む9歳の少女。
ある日、京劇の大スターが講演のために泊まりに来ます。
主人公から見れば一見普通のおじさんなんですが、
練習や本番での美しい歌声が本当に魅力的で、
主人公をはじめ多くの人が魅了されていくのです。
しかし戦争によって京劇をしてる場合ではなくなり…。

すごく貧しい村の話という感じではないんですよ。
町の人たちが京劇という娯楽に浸り、芸術を愛し、
つつましくも幸せで心豊かな暮らしぶりが感じられます。

そんな平和に見えるページにもちらほらと、
戦時中であることが垣間見えるんですよね。
ざんこくな描写は決して無いんですよ。
でも、劇場の近くで群がる民衆や、新聞記事や貼り紙、
色んなところに「抗日」とか「国のために」とか書いてあるんです。
大スターのおじさんも、夜こっそりと、
「軍のためになんて、うたえない」とこぼしたり。

戦時中になれば、楽しい素晴らしい芸術も無くなる。
悲しくて切ないお話ですが、
異文化の京劇の見どころや美しさを知れる素敵な本ですよ。
踊りや立ち回りの芝居はしっかり見て、
歌や語りの芝居は目をつぶって鑑賞するんだとか!

画像引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

こういう他国の文化の素晴らしさも知って、
尊敬し合い、尊重し合っていきたいですよね。

著者は、姚紅(ヤオ ホン)さん。
南京芸術学院を卒業後に絵本出版社の編集者をしたり、
今は同学院の教授をされている方で、専門は中国画!
この絵本も、水墨画のようで、セピア写真のような、
古風で美しい中国画の各ページが素晴らしいんです。
見開きで京劇の本番が描かれているのは見どころですよ!
遺跡の中の壁画を見ているような気分になります。

非武装地帯に春がくると

こんど 非武装地帯に 春が きたときには、
おじいさんは もう これいじょう、
展望台に のぼりたくは ありません。
おじいさんは、 かたく とざされた 鉄の とびらを あけはなち、
そのなかに はいっていって、
あたたかな 日の あたる 野原に ねころんで、
あおい 空を ながめたいのです。
だって そこは、おじいさんの なつかしい ふるさとなのですから。

引用元 絵本「非武装地帯に春がくると」

朝鮮半島でふたつに分かれている国のあいだには、
休戦ライン(軍事境界線)があります。
その周辺は人の立ち入りが禁止されたまま何十年も経つので、
希少な動物や植物がくらす楽園のような場所になっているんだとか!
そこを眺められる展望台に立って、
季節の変化を感じ、思いを馳せるおじいさんのお話です。

画像引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

柔らかくて温かい絵が、四季を美しく描いています。
そんなカラフルな絵の中にも、ちょこちょこと、
有刺鉄線の網とか、地雷の警告とかが紛れていたり、
ボロボロの鉄道跡があったりします。
ハッピーエンドを想像させる優しい作風の絵本です。

著者はイ・オクベさん。
韓国を代表する絵本作家の一人です。

ぼくのこえがきこえますか

ぼくたちの すがたは だれにも みえないけれど、
あなたに つたえたい。
ひとが ひとを ころす せんそうの こと。
あなたと おなじように いきていた ぼくたちの こと。
ぼくの こえが きこえますか。

引用元 絵本「ぼくのこえがきこえますか」

この絵本の主人公「ぼく」は、せんそうで亡くなった若者。
家族には母親と弟がいます。
母親が泣き悲しむ中、主人公は「国のために」と送り出され、
敵の攻撃であっけなく倒れてしまいます。
悲しみと虚しさから、たましいとなって漂い、
「きみがしんだら、かあさんはひとりぼっちになる」と弟に呼びかけるも、
なかなか声が届かず、弟は「兄の仇を」と怒り狂って出陣し…

だから、本のタイトルが「ぼくのこえがきこえますか」なんですね。

画像引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

「へいわってどんなこと?」とはだいぶテイストが違います。
リアルな恐ろしい絵ではなく抽象的なイメージですが、
力強いタッチの水彩画で憤怒や慟哭が表現されています。
著者も「ひどい目に遭うのは、いつも弱い立場の人々」だと語っています。
中途半端なハッピーエンドにしてはいけないんですよね。
やり場のない悲しみと苦しみが伝わってきます。
でも、知らないままではいけない、と思わせる絵本です。

著者は田島征三さん。
新潟県で「絵本と木の実の美術館」を運営する作家さんです。
公式サイト→ http://ehontokinomi-museum.jp/
木の実や緑や自然、命を愛し、それをテーマに描くことが多いようです。
代表作は、昔話「ちからたろう」のポプラ社から出た絵本。
こちらも生命力の強さを感じさせる田島さんならではの絵ですね。
内容と合っていて根強い人気の絵本になっています。

くつがいく

ぼくたちは とうとう ボロボロに なった
ぼくたちに めいれいした くにも ボロボロに なった

引用元 絵本「くつがいく」

ちょっと斬新。
主人公は「靴」です。
兵士に履かれ色んな場所に赴き、色んなものを踏みつけた…
という靴目線で、詩のように語り掛けてきます。
ページが進むごとに、靴はどんどん汚れて破けていき…。

画像引用元 童心社公式サイト「日・中・韓平和絵本」

ざっざっざっざっ…と文字がどんどん重なるのが、
すごくリアルかつ淡々と、行進の音を表現しています。

著者は、和歌山静子さん。
「幼い頃に何もわからずせんそうを体験した」と
童心社公式サイトにも書かれていますので、
表紙と最後に出てくる少女は、和歌山さんご自身なのかも。

どこかで見たことのある絵だなぁ…と思いませんか?
教科書でも取り扱われて有名な「王さまシリーズ」!
これのイラストを書かれている作家さんなのです。
クレヨンみたいな太い独特の線が印象的で可愛い。

さくら

それから、さくらの木は こういった。
「それにしても、わしには つらい思い出がある。
わしたちの花にたとえて、ちれ、ちれと
若者たちを 死なせてしもうた。
若者たちが死んで のこしたものは、
にくしみと、悲しみだけじゃった。(略)」

引用元 絵本「さくら」

これは、せんそうの直前に生まれた作者が主人公。
幼児期、少年期、青年期を過ごす中での、
情景・彼の心境・桜への価値観の変化を描いた絵本です。

産まれた時は可愛い赤ちゃん。
幸せいっぱいで家族みんなにお祝いされます。
その時の家族の様子と満開の桜のイラストが美しい。
生活も余裕があって豊かな印象を受けます。

学童期を迎えると、ピカピカの桜の徽章のついた帽子で入学。
学校では、さくらやへいたいさんの歌を習い、
近所のお兄さんがへいたいさんになるので万歳で見送り…。
本気で「ばんざいばんざい」な少年に育ったと振り返っています。

しかし社会は一気に貧困化し、
父親が風邪と栄養失調でかえらぬ人になり、
毎日隠れて一人でなげく母親を見て、意識の変化が起こります。

たった一人の父をうばわれたぼくでさえこんなに悲しいのに、
しんじられないほど いっぱいの悲しみが
地球をあつくおおっている。

細い線画に、カラフルな色合いがとても美しいんですよ。
命を投げ出すことに、きれいな花を比喩で使うって不思議な価値観ですよね。

著者は、田畑精一さん。
この絵本の主人公はご自身のようです。
せんそうに負けてから荒れに荒れた少年期だったと、
時代に翻弄されて変わっていくご自身の心境を描いています。

田畑さんと言えば、やはり大ヒットのこの絵本!

やんちゃでのびのびして優しい絵本を描く方なんですよね。

火城 燃える町―1938

くらしは、歌のように
つづいていくんだと 思っていた。
(略)
火は 五日間 昼も夜も 燃えつづけ、
長い歴史をもつ 古い町は 焼け野原に なった。
なくなった。
わたしたちの 通りが、学校が……。
なくなった、 わたしたちの 家が……。
なくなってしまった、 わたしたちの 古い町が……。

引用元 絵本「火城 燃える町―1938」

これは、せんそうのさなかに、大きな火事が起こり、
中国湖南省の古都長沙が燃えてしまった話。
主人公は幼い女の子で、いつも町を散歩するのが大好き。
にぎやかな人通り、沢山の店の売り物、のどかな風景、
しかし、ずっとここにあると思っていた町並みは…。

長沙には物資や施設が集まっていたため、
敵である日本に物資を奪われる前に、
都市ごと焼いてしまおうと火がつけられてしまいます。
市民へ避難命令が出る前に出火してしまい、
沢山の犠牲が出てしまったこの出来事は、
長沙大火と呼ばれています。

これは黒の鉛筆で書かれているのでしょうか。
古くて懐かしい町の感じや、
全て燃えてなくなり悲しい感じが、
モノクロの絵で表現されています。

著者は、蔡皋(ツァイカオ)さん。
農村で教諭をされたのち児童文学の編集者になり、
その後、多くの絵本を出版しています。
絵は、湖南大学デザイン学院副教授で、娘の翺子(アオズ)さん、
表紙の火城という題字は、画家の夫、蕭沛蒼(シャオペイツァン)さん。
ご家族皆さんが、日中韓平和絵本の理念に賛同し、
丁寧に作り上げてくださった合作なんですね。

父さんたちが生きた日々

「祖国があぶないいま、ぼくは帰って
国の仲間と共にいることを選ぶしかない。
でも、ぼくたちがいっしょに学んだ年月を忘れはしない。
どこにいても、何がおこっても、自分の理想を持ちつづけよう。
ぼくたちは、いつまでも兄弟だ」

引用元 絵本「父さんたちが生きた日々」

田舎出身で、東京大学に留学した勉強熱心な中国人の岑(ツェ)さんと、
留学先の学友で大親友の日本人山本さんとの、友情の物語。

国のへだたりなく、学友みんなで意気投合して、
温かく充実した大学生活ぶりがうかがえます。
兄弟の契りを交わす岑さんと山本さんは、
社会の混乱で、祖国のため別々の道を歩むことになりますが、
終息したら桜が咲く頃にまた会おうと約束するのです。

こういう市民同士のつながりが、
平和には大事なのだろうなと思わされますね。

著者は、岑龍(ツェロン)さん。
物語の中心人物の岑さんは、著者のお父様のこと。
これはお父様から聞かされた実話だといいます。

シリーズの中では文章量が一番多いので、
小学校中学年以降の子におすすめかもしれませんね。

とうきび

ぼくは ひとりで そのままにしてきた
とうきびのことを かんがえた
「いまごろ ひげが はえて
とうきびが みのってるだろうになあ…」

引用元 絵本「とうきび」

とうきびと一緒にのびのび育った主人公の少年。
大事に育ててきたとうきびは置いていき、
生き延びるために知らない土地へ逃げます。
でも夜に、ふと、とうきびのことを思い出すのです。

著者が小学生の時に書いた詩が絵本になっています。
簡潔で、子どもなりの視点や思いが込められています。

著者は、権正生(クォン・ジョンセン)さん。
生まれは東京ですが、韓国を代表する韓国人童話作家です。
この詩の原文は方言で書かれているようです。
子どもの素朴さがイメージできますね。

春姫という名前の赤ちゃん

由美ちゃんは、ドキッとしました。
(そうだったのか……
それで、おばあさんの赤ちゃんは、43さいなのか……)

引用元 絵本「春姫という名前の赤ちゃん」

岡山県の瀬戸内海の小さな町に住む、小学生の由美ちゃん。
いつも通学路で会う、不思議なおばあさんと仲良くなります。
おばあさんには「43さいの可愛い赤ちゃんがいる」と聞き、
どういうことなのかと由美ちゃんは驚きます。
実は、おばあさんは出産前に広島でひばくしていて…

せんそうというものが終わって何十年経っていても、
爪痕はしっかり残っていることを感じさせられるお話です。

由美ちゃんもとても心優しくて素直で、
43歳の赤ちゃんと聞いても失礼なことを言わないで、
お見舞いに行こうと友だちに呼びかけてくれるし、
おばあさんも「可愛い赤ちゃん」って言うんですよ。
自分の子は何歳になっても可愛いのでしょうね。
悲しい中に、2人の優しさと深い愛情が描かれています。

著者は、ピョン・キジャさん。
岡山県生まれの在日朝鮮人二世の絵本作家で、
朝鮮半島の童話を日本の子ども達に紹介しています。
この絵本の原作は、
ニッサン童話と絵本グランプリで童話部門優秀賞を受賞しています。

まとめ

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関連記事 戦争と平和を見つめる絵本「わたしの『やめて』」

日本と中国と韓国の絵本作家が手を取り、
平和のために書かれたシリーズ絵本!

  1. へいわってどんなこと?
    (平和、個人の尊重)
  2. 京劇がきえた日
    (芸術や文化の尊重)
  3. 非武装地帯に春がくると
    (朝鮮半島のこと)
  4. ぼくのこえがきこえますか
    (人の命について)
  5. くつがいく
    (戦うとは何か)
  6. さくら
    (時代によって変わる社会)
  7. 火城 燃える町―1938
    (市民の暮らし)
  8. 父さんたちが生きた日々
    (国をこえた人付き合いの尊さ)
  9. とうきび
    (故郷を懐かしむ気持ち)
  10. 春姫という名前の赤ちゃん
    (原爆で苦しむ人たちの今)

色んなテーマ、視点から描かれた絵本で、
平和について、友好について考えてみませんか?

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