「透明なゆりかご」の漫画を性教育に?先生におすすめの漫画
無料で10話まで読めるとのことで、ついつい読んでしまいました…。
ドラマでも話題、「透明なゆりかご」!
読書感想文のおすすめ本にしたいくらいですよ。
でも大体、読書感想文には漫画不可にしていますので多分無理でしょうが…。
これは、性教育としてもアリ。
若年層の妊娠や手術は決して珍しいことではなく、少女の怠惰や自己責任からくるものでもなく、もっと深刻で複雑であることを、漫画で訴えていくのは効果的です。
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漫画「透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記」
透明なゆりかごとは、「透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記」が正式タイトルの漫画です。
タイトルを見てお分かりかと思いますが、産婦人科で働くスタッフの視点でストーリーが進んでいきます。
作者の体験をもとに書かれていて、1990年代の話のようです。
漫画サイトのレビューには「泣けた」「感動した」「つらい現実を知ることができて幸せをかみしめている」といったような高評価がたくさんです。
低評価をつけている人に多いのが「絵柄が…」というもの。
普段から、萌えイラストとか漫画の絵を見慣れている現代日本人にしてみれば変わった絵柄でしょう。
しかし逆にそれが救いになっているところがあります。
厳しくつらい現実の描写もあるので、リアルな絵で丁寧に描かれてしまっては見られない人がたくさん出ることになります。
堕ろす手術を受けて赤ちゃんは亡くなる訳ですが、そういうシーンもグロテスクにせず、シンプルに優しく、抵抗ない絵面にしてくれています。
怖がりの私でも読めました。
だから、たくさんの人に読まれて話題になり、ドラマにもなっているのでしょう。
それに淡々と描くことにより、読み手によってイメージを自由に膨らませやすいですね。
最後まで語らない道徳の教科書のように、読み手に考える余白を与えられているような気がしてきます。
親の視点で見ると、私もぶわーと涙が出てきました。
つらいです…2話のラスト。
苦しい。
でも最終的な事実は分からないから、自分で幸せな方へと信じることもできるんですよね。
また、レビューの中で「話を盛ってる」「10代の妊娠なんてありえない、リアリティーがない」という声もあるようです。
報道・周知されていないだけで、10代の妊娠は少なくない。
望まない妊娠や貧困や虐待など、目を背けてはいけない事実も漫画で知っていくことができたら、多様な人生への理解につなげることができるかもしれません。
同僚の看護師の態度から学べること
私が印象に残ったのは、主人公の同僚の看護師の態度です。
- 出産に時間がかかっている人を見て、「早く帝王切開にすればいいのに」のような発言をする
- 事情を抱えた母子について、「あの母親だからきっと虐待だよね」と決めつけて話す
- 堕ろすことを決断した女性のことを「自己責任」と言う
仕事で多くの園児・児童生徒と接していると、先生という人達はどうしても慣れがでてきてしまいます。
- 楽に回したくて、個人の思いをないがしろにする
- 親は自分の子しか見えないものだが、仕事で沢山の事例を知っている自分の視点で語ってしまう
- 保護者のことを知った気になって「自分は絶対に虐待をしない、違う立場の人間」と思い込んでは簡単に断罪する
- 様々な事情があるのに、自分の中での情報と価値観で他人を判断する
こういった思いから、登場人物の看護師の言動が生まれているのでしょう。
漫画の中だけではありません。
先生達や全く関係ない他人が、簡単に保護者を批判してしまうことは現実の世界でもあります。
目に見えているだけ、自分が知っているだけが、保護者の全てではありません。
色々な事情があり、苦しみながら考えた結果、虐待に至ってしまったり、堕胎になったり、中高生で妊娠ということになったりします。
特に虐待。
これはニュースで報じられる度に、「ばかな親」「自分ならちゃんと育てるのに」「理解できない」と、簡単に批判してしまいがちです。
自分で育児をしてみて、本気で子どもと向き合うとイライラもするし、仕事と違って割り切れないところがたくさんあることに気づいた親が大勢います。
虐待を減らす第一歩は、厳罰化の前に、親が一人で追い詰められない環境をつくる「育児支援」です。
虐待は、「世間が思い描いた通りのバカ親」が起こしているのではなく、どの家庭にも起こりえること。
そして、「虐待する親は最低で厳罰に処すべき」「母親は子どものために何でも我慢して頑張るべき」という価値観が、孤立しがちな現代の子育て世代をどんどん追い詰めてしまいます。
教育評論家の某氏は、「最近はこんなモンスターペアレントまでいてね…」とあたかも問題な親ばかりと思わせるような発言で世間の注目を集めてしまいます。
教育関係者がそういう風に言うと、みんな信じてしまうんです。
色んな事情があり悩んで妊娠出産にあたっているということに、透明なゆりかごの主人公が気づかせてくれます。
学校に求められている理由
漫画サイトのレビューでは、「学校の性教育で取り扱ってほしい」との声がいくつも見られました。
「何でも学校に押し付けないでほしい!家庭でやってくれ!」と思わないでいただきたい。
別の国では3歳から性教育を行うところもありますが、理由の一つに「思春期になってからでは、親の話は素直に聞けない。反抗期になる前に話しておくべき。」というのもあるようです。
日本ではまだまだ幼少期からの性教育が浸透しておらず、子どもが大きくなってからの親の指導では限界があります。
親からだけではなく、学校や地域といった、みんなで教育する体制が望ましいですね。
先生から的確なことを教えてあげようとか意気込む必要はなく、読書感想文のように漫画を読んで、子ども達が自分の頭で考える、というやり方も十分有意義。
(ディベートのようにすると、子ども達は性への恥ずかしさを感じて語りづらいかもしれません)
まとめ
子どもがどう生まれてきたのか、親はどんな思いで妊娠~出産~育児をしているのか??
これを理解するのは必須で、教育と保育を行う上での基盤になります。
全ての子どもは、親から生まれているのですから。
性教育の授業のネタ作りに読んでみるも良し、子どもや保護者の色んな背景を知りたいと思って読んでみるも良し、単にエンタメとして漫画を鑑賞するも良し!
話題の「透明なゆりかご」、読んでみませんか?